「今はエビデンスがないだけで、本当は効果があるかもしれない」
健康情報の話題で、この言葉を聞いたことはありませんか?
一見すると、
「頭ごなしに否定せず、可能性を大切にしよう」
という柔軟な考え方に見えます。
実際、科学や医学は常に進歩しています。
昔は分からなかったことが研究によって明らかになることもあります。
そのため、
「今はまだ証明されていないが、将来分かる可能性がある」
という考え方自体は間違いではありません。
しかし健康情報の世界では、この言葉が都合よく使われることがあります。
結論から言うと、
将来証明される可能性があることと、現時点で効果が確認されていることは全く別の話です。
ここを混同すると、多くの誤解が生まれます。
科学は可能性を否定しているわけではない
まず整理しておきたいのは、
科学は可能性を否定するための仕組みではないということです。
例えば、
-
腸内細菌研究
-
ピロリ菌研究
-
遺伝子編集技術
-
mRNA技術
なども、かつては十分なデータがありませんでした。
しかし研究が進み、
-
検証
-
再現
-
追試
が積み重なった結果、科学的知見として認められてきました。
つまり科学は、
「そんなものは絶対にあり得ない」
と言うためのものではなく、
「本当にそうなのかを確かめる」
ための仕組みです。
問題は「未確認」と「効果あり」を混ぜること
本当に問題なのは、
まだ証明されていないものを、
あたかも効果が確立しているように語ることです。
現時点でエビデンスがない場合に言えるのは、
-
効果がある可能性はある
-
効果がない可能性もある
-
まだ分かっていない
という状態です。
つまり、
「未確認」
です。
しかしSNSでは、
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がんに効く
-
ワクチン後遺症が改善する
-
免疫が上がる
-
デトックスできる
-
重金属が排出される
など、
効果が確定したかのように語られることがあります。
これは科学的な説明というより、
期待や願望が先行している状態と言えるかもしれません。
なぜエビデンスが必要なのか
「エビデンスばかり求めるな」
と言う人もいます。
では逆に、
何を基準に判断するのでしょうか。
例えば、
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体験談
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口コミ
-
販売者の説明
-
インフルエンサーの感想
-
昔から使われているという伝統
-
自然だから安全という印象
これらは参考情報にはなります。
しかし、それだけで人の健康を判断するのは難しいと考えられています。
エビデンスは、
人を否定するためのものではありません。
むしろ、
人を守るための確認作業です。
薬剤師として伝えたい「確認すべきこと」
医療や健康の分野では、
単に効くかどうかだけではなく、
次のような点も重要です。
-
本当に効果があるのか
-
どの程度の効果なのか
-
誰に効果があるのか
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誰には危険なのか
-
薬との相互作用はないか
-
妊娠中でも問題ないか
-
長期間使用しても安全か
これらを確認するために研究が行われます。
もし本当に優れた方法であれば、
検証によってその価値が示されるはずです。
WHOやEBMが重視していること
時々、
「エビデンスばかり見て人を見ていない」
という意見もあります。
しかし現在の医療で重視されているEBM(Evidence-Based Medicine)は、
単に論文だけを機械的に重視する考え方ではありません。
一般的には、
-
最良の研究結果
-
医療者の経験
-
患者さんの価値観
を総合して判断する考え方とされています。
また、伝統医療や補完医療についても、
一律に否定するのではなく、
安全性や有効性を評価することが重要と考えられています。
つまり、
「昔からあるから正しい」
でもなく、
「新しいから正しい」
でもなく、
検証して判断するという姿勢が大切なのです。
体験談は大切。でも証明ではない
私は体験談を否定したいわけではありません。
実際、
「自分は良くなった」
という経験は本人にとって重要です。
その体験から新しい研究テーマが生まれることもあります。
しかし、
-
私は良くなった
-
私の知人も良くなった
という事実から、
-
誰にでも効く
-
病気が治る
-
薬より優れている
とは言えません。
体験談は仮説にはなります。
しかし、
証明とは別です。
「今はエビデンスがないだけ」は何にでも使えてしまう
ここが最も重要なポイントかもしれません。
もし、
「今はエビデンスがないだけ」
という言葉だけで認めるなら、
どんな主張でも成立してしまいます。
例えば、
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水素水
-
デトックス商法
-
波動療法
-
宿便排出商品
-
重金属除去サプリ
-
万能健康食品
にも同じことが言えてしまいます。
「将来証明されるかもしれない」
は、
科学的根拠ではありません。
未来の可能性です。
だからこそ、
現時点で分かっていることと、
まだ分かっていないことを分けて説明する必要があります。
正しい健康情報の考え方
健康情報に必要なのは、
夢や希望だけではありません。
かといって、
可能性を頭ごなしに否定することでもありません。
大切なのは、
-
効くかもしれない
-
研究中である
-
現時点では確認されていない
-
科学的に支持されている
これらを区別して伝えることです。
科学は可能性を潰すために存在しているのではありません。
可能性と事実を分けるために存在しています。
まとめ
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将来証明される可能性があることは否定できない
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しかし現時点でエビデンスがなければ効果は未確認
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「効くかもしれない」と「効く」は別物
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体験談は仮説になるが証明にはならない
-
健康情報では安全性やリスクも重要
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エビデンスは人を守るための確認作業
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本当に良いものなら検証によって価値が示される
健康情報を発信する上で大切なのは、
「信じたい話を広めること」
ではなく、
「現時点でどこまで分かっていて、どこから先は分かっていないのか」
を正直に伝えることです。
このnoteでは、薬剤師の視点から
-
健康情報の誤解
-
医学研究の読み方
-
エビデンスの考え方
-
SNS時代の情報リテラシー
について、できるだけわかりやすく解説しています。
情報があふれる時代だからこそ、一緒に「可能性」と「事実」を区別する力を身につけていきましょう。




