「ファイザーが1291種類の病気を認めた」は本当?SNSで拡散する情報を科学的に検証

「ファイザーがワクチンで1291種類の病気が起きると認めたらしい」

「裁判で隠していた資料が公開された」

「だから危険性が明らかになった」

新型コロナワクチンに関する話題の中でも、この主張は何年もSNSで繰り返し拡散されています。

数字のインパクトも大きいため、

「1291種類も病気になるの?」

と不安を感じた人もいるかもしれません。

しかし実際には、この話は資料の内容を誤解したり、一部だけ切り取ったりして広まった可能性が高いと考えられています。

結論から言うと、ファイザーが

「ワクチンを打つと1291種類の病気になる」

と発表した事実は確認されていません。

では、なぜこのような話が広がったのでしょうか。


誤解の元になった「1291項目リスト」とは

SNSで引用されることが多いのは、ワクチン接種後に報告された有害事象に関する資料です。

ここで重要なのが、

「有害事象」と「副作用」は同じ意味ではない

という点です。

医薬品の安全監視では、

接種や服用の後に起きた出来事を幅広く収集します。

例えば、

  • 発熱

  • 頭痛

  • 心筋炎

  • 脳卒中

  • がんの発見

  • 骨折

  • その他の疾患

なども報告対象になることがあります。

なぜなら、この段階では

「本当に薬が原因なのか」

がまだ分からないからです。

まずは可能な限り情報を集め、その後に統計解析や追加調査を行います。


「有害事象」と「副作用」は何が違うのか

この違いは非常に重要です。

有害事象(Adverse Event)

薬やワクチン接種後に発生した出来事全般。

因果関係は未確認。

副作用(Side Effect)

薬剤との関連性が認められた、または強く疑われるもの。

つまり、

有害事象は「接種後に起きた出来事」

副作用は「接種が原因と考えられるもの」

です。

例えば、

「朝コーヒーを飲んで昼に雨が降った」

という事実だけでは、

コーヒーが雨を降らせたことにはなりません。

同じように、

「接種後に病気が発生した」

だけでは、

ワクチンが原因とは言えません。


なぜ全部集める必要があるのか

薬剤の安全管理では、

見逃しを防ぐことが最優先です。

そのため、

「少しでも関係があるかもしれない」

情報は広く収集します。

流れを簡単にすると、

①接種後の出来事を報告する

②データを集める

③統計解析する

④一般集団より増えているか確認する

⑤因果関係を評価する

という手順になります。

最初から原因が確定しているわけではありません。

むしろ、

原因が分からないからこそ集めるのです。


薬剤師として感じる「時系列」と「因果関係」の混同

健康情報では、

時系列と因果関係が混同されることがあります。

例えば、

「ワクチン接種後に病気になった」

という事実は、

確かに本人にとっては大きな出来事です。

しかし科学的には、

次のような可能性を検討します。

  • 偶然同じ時期に発症した

  • 元々進行していた病気だった

  • 年齢による発症だった

  • 他の要因が関係していた

そのため医学では、

個別の事例だけで結論を出さず、

大規模なデータを分析します。

これはワクチンだけでなく、すべての医薬品で共通する考え方です。


実際に確認された副反応は公表されている

ここで誤解してはいけないのは、

「副反応が全くない」と言いたいわけではないことです。

医療に100%安全なものはありません。

実際に、

心筋炎や心膜炎などについては研究が進み、添付文書や公的機関の情報にも記載されています。

つまり、

リスクが確認されたものは公表され、継続的に評価されています。

もし本当に1291種類すべてが明確な副作用であれば、

世界中の規制当局が重大な対応を取る可能性が高いでしょう。

しかし現実には、

利益とリスクを比較した上で運用が続けられてきました。


なぜSNSで誤解が広がるのか

SNSでは専門用語が簡略化されやすくなります。

すると、

「有害事象」

「副作用」

「確定した被害」

という形で意味が変化してしまうことがあります。

さらに、

  • 難しい資料

  • 英語文書

  • 裁判資料

などは内容を確認する人が少ないため、

一部だけ切り取った情報が拡散されやすくなります。

数字が大きいほど注目を集めやすいため、

「1291種類」という数字だけが独り歩きした可能性もあります。


健康情報を見るときのポイント

健康情報に触れたときは、

次の視点を持つことが大切です。

  • 因果関係は確認されているか

  • 時系列だけの話ではないか

  • 元資料を確認しているか

  • 専門用語の意味が変わっていないか

  • 複数の情報源で確認できるか

特に、

「衝撃の真実」

「隠されていた情報」

という表現ほど、慎重に確認する価値があります。


まとめ

  • ファイザーが「1291種類の病気になる」と認めた事実は確認されていない

  • 問題の資料は接種後に報告された有害事象の一覧

  • 有害事象と副作用は別の概念

  • 接種後に起きた出来事すべてが原因とは限らない

  • 医薬品安全管理では幅広く情報を収集する

  • 確認されたリスクは公表され継続的に評価されている

  • 時系列と因果関係を区別することが重要

健康情報では、不安をあおる数字や印象的な言葉が注目されやすくなります。

だからこそ、

「その数字は何を意味しているのか」

「本当に因果関係が示されているのか」

を確認する姿勢が大切です。

このnoteでは、薬剤師の視点から

  • ワクチンに関する誤解

  • 医学研究の読み方

  • 健康情報のファクトチェック

  • SNS時代の情報リテラシー

について、できるだけわかりやすく解説しています。

情報に振り回されず、根拠をもとに考える力を一緒に身につけていきましょう。

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